パリオリンピック直前!日本代表4名が記者会見で意気込みを語る。
いよいよ日本時間2024/7/28(日)午前2時から始まるパリオリンピック・サーフィン競技。五十嵐カノア選手、稲葉玲王選手、コナー・オレアリー選手、松田詩野選手、全4名の日本代表選手が、開催地フランス領タヒチ・チョープーから現在の心境やオリンピックの目標、意気込みを語りました。
五十嵐カノア選手
チョープーは意外とシンプルな波。
ー現在の心境は?
オリンピックも近づいてきて、毎日モチベーションが上がってきています。もちろんプレッシャーや緊張を感じることもありますが、全てポジティブに捉えています。
ーオリンピックでポイントになりそうなところは?
チョープーは意外とシンプルな波です。あまり考えることもないし、普通の波だと技やメニューを頭の中で考えることが必要ですが、チョープーはチューブだけ。バレルライディング(=チューブライディング)のことだけを考えて、チューブの中に深く入ることとか、テクニカルなこととかもありますが、シンプルにいきたい。だから他の大会と比べてもやりやすいと思います。
ー東京オリンピックでは銀メダル。タヒチではどのような結果を掴みたいですか?
東京オリンピックの結果も嬉しいけど、自分の中ではもうワンステップあると思っています。メダルの獲れるサーフィンができるというモチベーションにも繋がっているけど、もうあとワンプッシュという感じで今回もチャンスをいただけてありがたいです。あと1週間はオリンピックだけに集中したいです。
どんなリスクを取ってでもメダルを狙いに行く。
ー高得点出すために意識していることは?
練習しているときに一番集中しているのは波選び。乗りやすいよりも点数が出るいい波を見つけることです。試合時間30分の中で色々な波が入ってきますが、その中で7〜9点台の出る波を見つけるのが難しいです。チェスのような感じで、対戦相手にはあまり良くない波を乗ってもらって、自分は波を待って点数が出る波に乗る、ということに集中しています。それ以外にはチューブの入り方とか、チューブの中でもギリギリの深いところまで入ることも意識しています。普段の練習から大会を想定してやっています。
ーヘルメットを着用しない理由は?
ヘルメットは守る上で大事なものだとは理解していますが、感覚が崩れてしまうのが嫌だし、今までヘルメットをあまり使ってこなかったので、自分が慣れていないというのもあります。チョープーは危険な波だとは思いますが、メダルを獲るためならどんなリスクでも取っていきたい。
チームジャパンとして過ごせている時間が幸せ。
ーチームジャパンの雰囲気は?
みんな仲がいいし、一人一人のパワーが集結している。自分のためにメダルを獲るというよりはチームのためにメダルを獲りたい。朝早くから夜遅くまでアスリートをサポートしてくださっているスタッフさんのおかげでサーフィンだけに集中できる環境があることはとてもありがたいですし、チームジャパンとしていられることが優勝することと同じくらいとても幸せです。
ータヒチの波でどういったサーフィンを見せたいですか?
オリンピックのためにできることは全てやってきたと思う。試合前日に「これ以上できない」と思うくらい練習をしたいという目標を作っていました。30分の間になるべくいい波を見つけて、自分のパフォーマンスを見せれる波を探すこと以外の準備はもうできているので、そのチャレンジを自分も楽しみにしています。
稲葉玲王選手
今まで練習してきたことをタヒチでも出し切りたい。
ー開幕まで残り三日、今の気持ちは?
オリンピックムードは感じつつあるが、まだ実感が湧かないですね。
ー現地練習での波の状態や感触はいかがですか?
今年もう3〜4回タヒチに来ているのでこれまでに見つけた波のポジショニングがうまくハマりつつあるのでいい感じです。昨日の朝は大きめの波でチューブに入れたのはよかったです。今まで千葉で練習してきた波と全然違いますが、これまでやってきたことがタヒチでもちゃんと反応してくれると思います。
ーチョープーは世界で最も危険な波と言われている中でどのような目標を掲げているか?
一生忘れらないライディングになると思うし、それがメダルに繋がればいいなと。しっかりとメダルと獲りにいきたい。
ー選手村がクルーズ船となっているが、選手村内でどのように過ごしていますか?
クルーズ船の中の部屋は広くて、いいホテルくらいの快適さです。基本引きこもって、好きなYouTube動画を見てリラックスしています(笑)僕は揺れとかは全然気にならなくて、朝起きたら目の前にある海のコンディションがすぐ分かるのでめちゃくちゃいいです。
故・小川直久さんの想いをヘルメットに込めて。
ーヘルメットは着用する予定か?
着用予定ですが、波が小さい場合はヘルメットが邪魔になることもあるので状況次第で判断したいです。今回ヘルメットを持ってきた理由は、去年51歳という若さで亡くなられたプロサーファーの小川直久さんの意思を受け継いだ形です。自分から小川さんのご家族にお願いをして、ヘルメットを持って来させていただきました。ヘルメット自体は自分のサイズに作ってもらったのですが、小川さんが使用していたヘルメットと同じデザインをペイントしてもらいました。少しでも小川さんからのパワーをいただけたらという想いもあります。
ーこれまで出場した大会とオリンピックで準備の違いはありますか?
あまり違いは意識しないようにしています。大会というよりは波に対する緊張感を持っています。あまり意識しすぎるとビビってしまうと思うので、気楽に構えるようにしています。
気合を入れるための”日本人魂”パンチパーマ。
ー髪型をパンチパーマに変えた理由は?
「日本人」として気合いを入れるためにパンチパーマをかけました。
ー「一生に一本の波に巡り合いたい」という目標への想いは?
それはオリンピックに限らず、一人のサーファーとしての夢で、それが実現できるのがタヒチだと思います。ここで決められたらすごく嬉しいなと思います。
ーオリンピック選手として日本を代表する意気込みをお聞かせください!
日本人魂を見せていきたいです!
コナー・オレアリー選手
チョープーは一番好きな波、パフォーマンスに集中したい。
ー大会まであと3日ですが、現在の心境は?
すごくいい気持ちです。昨日と今日で結構いい波に乗れました。チョープーは一番好きな波なので、メダルを狙っていきたいです。
ーオリンピックの目標は?
良いパフォーマンスに集中をすれば、良い結果は後からついてくると思うので自信を持って頑張りたいです。いいサーフィンを見せていきたいです。オリンピック初日はなかなかいい波だと聞いているので楽しみです。
日本人の母親譲りの「気合い」で挑みたい。
ーオーストラリアから日本に移籍をして臨む気持ちは?
チームジャパンから良いエネルギーを受けています。オーストラリアと日本のハーフだけど「力」と「気合い」は日本人のお母さんから譲り受けたもので、今に繋がっている。子供の時に空手を習っていて、「気合い」という言葉は当時から使っていたので、自信を持って強いサーフィンをして100%の力を出し切りたい。
ーご家族はオリンピックを見に来られますか?
来ないですね。お母さんは日本でばあば(祖母)と一緒に観戦すると思う。弟が高校最後のテストで大事な時期なので、お父さんと弟は二人でオーストラリアにいます。
ーお母さんからはどんな「気合い」を入れられましたか?
「頑張れ」と言われました。「一生懸命準備をして負けたのなら大丈夫」と言われてきたので、100%出して勝つか負けるかだと思います。チョープーは危険な波と言われていますが、子供の頃からスラブ波を乗ってきた僕にとってはアットホームなフィーリングがあります。たまに怖いけどね。すごく楽しみです。
ー日本チームの良さは?
サポートがすごくいい。食事はもちろん、コーチのサポートも一番良い。チームのメンバー全員がベストな仕事をしてくれる。僕は僕の仕事を100%発揮するためにそういうサポートは絶対的に必要。僕も気合を入れて頑張りたいです。
松田詩野
タヒチで色んな波を経験したからそこは自信を持ちたい。
ー現在の心境は?
色んな波のシチュエーションで練習ができていて、陸に戻ってきたらチームのみんなとオフの時間を楽しく過ごせていて、オン・オフの切り替えがうまくできていると感じています。
ー早くからタヒチ入りをして準備をしてきたが、手応えは?
この2週間の間で風が強い日もあったりしたのですが、昨日はいいチューブの練習ができたりと調子は上がっていると思います。当日は波のコンディション次第で点数の出方は変わってくると思うのですが、色んなコンディションを想定して様々なシチュエーションでの練習を積み重ねてきたのでそこは自信を持ちたいです。
ー現地のコーチから学んだことで一番大事にしていることや印象に残っていることは?
やはり波待ちのポジショニングだと思います。ポジションニングが自分で分かっているだけでも落ち着いて待つことができる。自然相手なので、焦って乗るのではなくて自分の乗りたい波をしっかり待つということは大事にしたいです。
ータヒチでオリンピックを行うことに対する気持ちは?
最初聞いた時はびっくりしたが、これまでチャレンジした女子選手から刺激をもらったので、今度は私が次世代の日本の女の子たちにも刺激を与えられたらいいなと思います。
東京オリンピックを逃した経験も全てが自分に繋がっている。
ーオリンピック内定直後と今とでどのような変化がありましたか?
最初は緊張感もあったが、練習を重ねていくうちに、ポジション取りやテクニック面のスキルアップをすることができた。東京オリンピックは出場できずに悔しい思いをして、ここまでの道のりで色んなことがありましたが、全ての過程が今の自分に繋がっていると思います。オリンピックの全瞬間を楽しみたいです。
ー誰にも負けない強みは?
タヒチで練習して学んだことが強みだと思います。戦い方はもちろんですが、自分の乗りたい波に乗れれば立つことができると思うので、そこに集中してヒートは戦いたいです。
ーサーフィンを頑張る子供たちにオリンピックを通してどのような思いを持ってもらいたいですか?
目標を決めてそれに向かって頑張っているところが一番成長を感じています。目標を叶えるまでに困難なこともあるかもしれないけれど、全て自分を成長させてくれるものだと信じて、今この瞬間は今しかないから全てを楽しんでほしいし、目標を叶えた後のことを想像して日々一歩ずつ進んでいくことを私自身もオリンピックを通して実感しました。そういう目標設定を子どもたちにはしてほしいなと思います。
記者会見を聞いていて、チームジャパンの雰囲気の良さが画面越しからたくさん伝わってきて、最高のチームだと思いました。「オリンピックを楽しみたい」という選手の想いを存分に発揮してほしいなと思いました!頑張れニッポン!