新しいサーファーへの支援の形。ープロサーファー矢作紋乃丞さんインタビュー
鵠沼海岸生まれ、21歳プロサーファーの矢作紋乃丞さん。昨年QSで初優勝をし、今年1月に開催されたWJC(ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ)では9位と今大注目の若手選手です。そんな彼を小さい頃から応援しているのが、江ノ島のアメリカンなレトロポップなハンバーガー屋「Café LivingRoom」を営む齋藤武誌さん。若きサーファーをサポートする「Team LivingRoom」を立ち上げ、応援団長として彼らをバックアップしています。今回はリラックスをした雰囲気でざっくばらんにお二人にお話を伺いました!
「腹減ったら食いに来い」料理人ならではのサポート
サーフィンを始めたきっかけは?
父がサーフィンが趣味で、よく海に連れて行ってもらってたんです。父の姿を見て楽しそうだなと興味が湧いて、始めてみたのがきっかけです。
武誌さんとの出会いはどういう経緯だったのですか?
ハワイの有名なサーフボードシェイパーに削ってもらった子供用のサーフボードをプレゼントでいただいたことがありました。近しい人を集めてお渡し会を開催していただいたのですが、その会場がタケシさんのお店だったんです!
あの時いろんな出会いがあって繋がりができたんだよね。まさかこんなにも長い付き合いになるとは(笑)
武誌さんはもんちゃんにどのようなサポートを行なっているのですか?
腹減ったら食いに来いよって(笑)なんでも作ってやるから、とよく店に呼んでました。
美味しいものが食べられてすごく嬉しかったです。メニューにないものでも、リクエストすればその場で作ってくれるんです。
お客様と会話をしながら即興で作る「ライブ感」のある料理が好きだからさ(笑)メニューにあるものを作り続けるなんて楽しくないから(笑)
もんちゃんが好きなメニューは?
小さい時はオムライスが好きで、今はポキ丼をトルティーヤで巻いたオリジナルメニューをよくリクエストしています。手を汚さずパクッと食べれて、お腹いっぱいになるし、野菜もたくさん摂れるから最高です。
勝つことよりも自分が納得できるかどうかが最優先。
もんちゃんのサーフィンスタイルの特徴はありますか?
昔からエアー(空中で技を披露すること)はよくやっていたので自信があります。ダイナミックなパフォーマンスが好きで、常に自分の中での100点を目指したいんです。
応援している身からすると、すごくワクワクさせてくれるパフォーマンススタイルで、見ていてすごく楽しい。
次はどんな技を見せてくれるんだろう…!?と期待しながら観戦できそうですね!
そうですね。サーフィンは10.0が満点の競技なのですが、絶対勝たなきゃ行けない場面で、5.0のパフォーマンスで十分なのに、10.0を狙いに行くのがもんのスタイル。10.0を目指すということは失敗したら0にもなるんです。ワクワクと同時にハラハラもしますね(笑)
試合中、対戦相手の状況や順位は気にしていないのでしょうか?
はい、全然気にしていなくて、速報もほとんど確認しないです。自分自身と戦っている感覚が強い。自分が納得できるものができれば、おのずと点数もついてくるし勝てると思っています。
めちゃくちゃかっこいい!
世界のトップレベルで活躍している選手は、いわゆる「置きに行くサーフィン」はしていないんですね。自分の強みを伸ばして、得意分野で勝つスタイル。だから自分もそこに照準を合わせて取り組んでいます。
もんが小さい時から、「得意なことを徹底的にとことん伸ばしていけばいい」と言ってました。苦手なことは後からできるようになるからと。そういう意味では僕たちの根本は同じなんです。やりたいパフォーマンスをするし、作りたいものを作る。人と同じことをしたってつまらないじゃないですか。感覚が自分と似ているからこそ応援したくなるんでしょうね。
確かに!輝く舞台は違えど、根底にある想いは同じなのですね。もんちゃんのそのスタイルはなぜ確立されたのでしょうか?
参考にしているサーファー達はいつも見ていてワクワクさせてくれるパフォーマンスが特徴なんです。そういった方への憧れもあるし、勝つためのサーフィンではなくて、ダイナミックなパフォーマンスの方が実際にやっていても楽しい。試合前は勝ちに行こうと意気込むのですが、結局波に乗ってしまうと体が勝手にやりたいことをやってしまうんです(笑)
怪我を乗り越えて、夢は金メダル!
これまでの競技人生で一番辛かったことは?
ジュニアオープン優勝後の2019年に交通事故で足を骨折したことです。骨が飛び出るほどの大怪我でした。その時はもうサーフィンができなくなるかもしれないという状況で、辛かったです。
そこからは懸命のリハビリだったのでしょうか?
事故直後は先のことが全く読めず、サーフィンのことも考えられなかったです。映像も見ないように情報をシャットアウトしていました。だいぶ治療が進んできて、またサーフィンができるかもしれないと希望の光が見えた後は頑張ってリハビリをしました。
小さい時から骨折ばかりしていたんですよ。治ったと思ったらまた違うところを骨折したりね(笑)ただ怪我した時はチャンス。普段できないことをしようとか、みんなと違うことをしてみようとか。
話を聞いてるとお二人ともすっごくポジティブだな〜と思います!
僕は基本ポジティブ。コロナ禍で飲食店が軒並み潰れた時も「今がチャンスだ!」とワクワクしていました。この状況下でできることはなんだろう?と前向きに考えていましたね。
ネガティブではないと思います。骨折した時は自分ではどうすることもできなくて多少凹みましたが、試合で負けて落ち込んだことは一回もない。自分の思い通りのライディングができなくて悔しいくらい。次はやってやるぞ!という気持ちになります。
武誌さんは今後どういったサポートをしていきたいですか?
基本的なサポートスタイルは変わりません。「腹減ったら食いに来い!」と。普段海外にいることが多いから、日本にいる間はうちの店で腹一杯食べてほしいと思っています。
食べ慣れた武誌さんの作る料理は、ホッと心も落ち着くでしょうね。
小さい頃のもんとプロサーファーになった今のもんとで接し方をあまり変えたくなくて。ずっと年の離れた友達感覚でいたいんです。そういった意味ではお金出してサポートするというのはちょっと違うかなと。今まではずっと一人で楽しむ程度だったサーフィンが、もんがきっかけでサーフィンの試合を見るようになった。どれだけサーフィンがマイナーで、日の目を浴びないスポーツかというのも理解している。だからSNSで情報収集をして、もんのことを気に入ってくれそうなスポンサー企業と繋げたり、「応援団長」としてこれからもやっていきたいです。
心強い応援団長ですね!
お店には「紋乃丞応援BOX」を設置したり、オリジナルのステッカーを販売していて、その収益をもんに渡しています。お金の関係になるのではなくて、支援できることは色々あると思うので、サーファーのサポーターがもっと増えたらいいなと思っています。
そういった絶対的な味方が日本にいて、応援してくれているというのは嬉しいですね。
本当にありがたいです。普段サーフィンに集中していて、なかなか発信活動の時間が取れないことも多いので、色々なところから話を持ってきてくれて、本当に感謝をしています。
もんちゃんのこれからの目標は?
CTに入ること、ロサンゼルスオリンピックに出場しメダルを取ることです。CTでも優勝、オリンピックでも金メダルを取れれば超ハッピーです。
まだまだ先の話だと思いますが、セカンドキャリアについて考えていることはありますか?
コーチングには興味があります。教えることはやったことないけど楽しそうだなって。あとはペンギンを育てたいんです。ペンギンが最近すごく好きで(笑)犬はちょっと違うし、魚は好きじゃないし、じゃあペンギンだなと。
ペンギンって(笑)このちょっと何考えてるかよく分からないところがおっさん心をくすぐるんですよね(笑)僕みたいに、お金ではない支援の仕方は色々あると思うので、このインタビューをきっかけに、ぜひ身近にいるサーファーのことをもっと気楽にサポートをしてほしいなと思います!
応援したくなる気持ち、すごくわかります!今日はお二人とも貴重なお時間をいただきありがとうございました!
矢作紋乃丞Instagram:https://www.instagram.com/monnojo_yahagi/?hl=ja
Café LivingRoom Instagram:https://www.instagram.com/cafe_livingroom/?hl=ja