プロトライアル一発合格の女子高生プロサーファー!ー登坂祐妃さんインタビュー
今年5月に行われたJPSAプロトライアル第二戦でショートボード女子一位となり、プロトライアル初挑戦ながら一発合格し、今勢いに乗っている16歳・高校2年生の登坂祐妃さん。これまでのサーフィン人生を振り返りながら、今後の目標についても語っていただきました。
本格的にサーフィンを始めたのは10歳から。
ーサーフィンを始めたきっかけは?
両親共にサーフィンが大好きでその影響です。私よりもサーフィンが好きなんじゃないかと思うほど両親は今もサーフィンを楽しんでいるサーフィン一家です(笑)小さい頃はベトナムやバリに家族でサーフトリップに行くこともありました。
ー本格的にサーフィンに力を入れ始めたのはいつ頃ですか?
小さい頃から片瀬江ノ島近辺に住んでいてサーフィンは身近だったのですが、本腰を入れ始めたのは10歳ぐらいの時です。それまでは夏休みの期間中にちょっと遊ぶ程度でそんなに好きじゃなかったんです(笑)小さい頃はミュージカルを習っていたり、中学校3年間は歌とダンスのレッスンを受けていたりとサーフィン以外のことも頑張っていました。今はもうサーフィン一本ですが、レッスンで教わったことを活かしてインスタグラムに歌やダンスの動画を時々あげています!
ー平日の練習について教えてください。
波のある日は学校の前後2回海に行きます。ホームポイントは鵠沼海岸なのですが、波が小さいことが多いので、2回入ることは稀です。同世代の女の子でサーフィンをやっている子が周りにいなくて一人で練習することがほとんどなので少し寂しいです。練習のモチベーションが上がらない日もあり、一緒にサーフィンができる友達が近くにいればなと思います。
純粋に試合を楽しむマインドに切り替えたら変化が。
ーサーフィンを辞めたいなと思うことはこれまでありましたか?
何回もありました。「もうサーフィン辞めたい」が口癖になっていたほどです。今年の世界ジュニア選手権の出場を逃した時はメンタルブレイクしました。同級生がU18の枠で出場する中で、私は早生まれでまだU16の枠で出場ができることもあり、年齢的にも大チャンスでした。ですが選考会の早い段階で負けてしまい出場ができませんでした。すごくショックでなかなかその後の試合でも良い結果出ませんでした。その時はサーフィン辞めたいと考えていましたね。
ーどのように気持ちを切り替えたのですか?
心配性で考え込んでしまうタイプで試合前は不安になることも多いんです。「勝たなきゃ」という思いが強くて、試合の結果に一喜一憂していました。毎回落ち込んでいるとメンタル的にもしんどくなってしまったので、今年からは「負けてもいいや」「試合を楽しめれば良いや」と勝ちに拘らず、楽観的に考えるように気持ちを切り替えました。そうすると試合でいい結果が出るようになり、プロトライアルにも一発合格することができてすごく自信につながりました。プロになることに焦ってはいなかったのですが、だんだんと同級生がプロ認定を受けていたので、少しずつ意識し始めていた頃でした。プロになった瞬間は「やっと勝てた」と純粋に嬉しかったですし、肩肘張らずに試合に臨むことで良い結果出るんだなと実感しました。岸で家族や友達がみんな応援してくれていて、一緒に喜びを共有できたことが何よりも嬉しかったです。
大学に進学をしてサーフィン以外の選択肢も広げたい。
ー高校の勉強とサーフィンの両立で工夫していることはありますか?
通っている高校がスポーツに打ち込めるような環境を整えてくれていて、サーフィン競技への理解がありとてもありがたいです。ただ遠征などで学校を休む日が他の競技をしている同級生よりも多いので、課題を早めに提出したり、授業に置いていかれないようにしています。大学進学も視野に入れているので、テスト勉強にも一生懸命取り組んでいます。得意科目は英語です!
ー大学進学したい理由を教えてください。
サーフィン以外の選択肢も広げたいからです。勉強も好きだし、大学生活ってすごい楽しそう(笑)サーフィンだけではなく、色々なことへの興味関心を持ちつつ、自分の可能性を広げられたらいいなと思っています。今は体育の先生にも興味があって教員免許を取りたいなとか、管理栄養士も楽しそうだなとかいろんな夢が広がります。(笑)今は将来のことを考えるのが楽しいです!
パワフルなサーフィンができるようになってきた。
ーサーフィンのポイントは?
バックサイドが得意で、試合でも点が出ることが多いです。今までは身体が小さいのもあり細かく繋げるようなサーフィンをすることが多かったのですが、最近はパワーもついてきてダイナミックなサーフィンができるようになったのでそこも注目してほしいです!憧れているサーファーは東京2020オリンピックで銅メダルを獲得した都筑有夢路さんです。自分のサーフィンスタイルとよく似ているところもあって参考にしていたり、たまに海で会った時は優しく接してくれたりと人柄も大好きです。
ー試合中に心がけていることはありますか?
試合前は自分の得意なサーフィンができるポイントを探すようにしています。最初の5分に2本まとめてしまって、残り時間で点を積み重ねていくのが理想の試合運びです。波に合った作戦を立てるようにしますし、対戦相手の状況も随時把握して、今どの選手の点数をマークすればいいかを判断し、効率の良い試合運びをするように心がけています。
ー食事管理で気をつけていることはありますか?
日本サーフィン連盟の強化指定選手の合宿で栄養士の方からの講義を受けることがあるので、教わったことを活かして糖分を摂りすぎないようにして、試合前はパワーを出すために炭水化物の多めのメニューにするなど気をつけています。いつも食事はお母さんが作ってくれているので、「明日試合だからパスタ食べたら?」と試合前の調整をサポートしてくれていてとても心強いです。
全国の仲間と高め合えるのがサーフィンの楽しさ。
ーサーフィンの好きなところは?
試合や遠征を通して全国に友達ができることがすごく楽しくて好きなところです。地元ではサーフィンをしている人が近くにあまりいないのですが、全国的に見ると同い年でサーフィンをやっている女の子が、他の世代と比べても多いんです。一人で遠征に行くこともあって、宮崎の友達の家に泊まらせてもらったり、車で試合会場まで送ってもらったり、一緒にサーフィンしたり…。そういう交流が地元ではなかなか味わえなくて、ライバルというよりは仲間という感覚でお互い切磋琢磨しながら高め合えるのがサーフィンの魅力だと思います。世界ジュニア選手権にTEAM JAPANとして出場した時は、お兄さんお姉さんたちがフランクに接してくださったり、世界のトップレベルの選手のサーフィンを間近にみたり、海外のパーティーに参加したりととても刺激的で楽しかったです。
ー今後の目標を教えてください。
今年はジュニア最後の年なのでタイトルを獲りたいです。U16ガールズランキングで年間1位になるか、全日本優勝が目標です。今年3戦目からSリーグにも出場予定なのでルーキーオブザイヤーも取れたら良いなと思っていますが、あまり気負わず、まずはプロの世界を楽しんでいきたいです。そして2028年ロサンゼルスオリンピックに日本代表として出場することも夢の一つです。そのためにQSや世界選手権など国際試合にも積極的に出場し経験を積んでいけたらと思っています。
ー読者にメッセージをお願いします。
いつも支えてくださる家族や友達、スポンサー、ホームポイントで優しくしてくださる方、全ての方々にとても感謝の気持ちでいっぱいです。いつも本当にありがとうございます。これからも応援よろしくお願いいたします。