千葉県一宮町では、Jアラートと連動し、自動飛行で海上のサーファーや海水浴客へ避難情報を伝達する「津波避難広報ドローンシステム」の本格運用を開始。
一宮町は日本屈指のサーフスポットとして知られる一宮海岸を有し、延長約7.5kmにわたる海岸線では通年で多くのサーファーが海上へパドルアウトしサーフィンを楽しんでいる。
そのサーファーに向けてこれまで「海上への避難指示が届かない」という課題を抱えてきたことを受け、Jアラートと連動しドローンが自動で離陸・避難放送・状況撮影を行う“次世代避難広報システム”を実装。
人的リソースが限られる災害時に、より広範囲・即時・非接触での避難誘導を実現する技術として期待されている。

当日の訓練では、アラート発令時を想定しドローンが一宮町役場屋上のプラットフォームから自動航行し海岸へ向かうデモ飛行が行われた。
今回のドローンシステムは、東京都文京区に本社を構えるブルーイノベーション株式会社が開発、運用を手がける「BEPポート|防災システム」が導入されている。

機体に装着されたスピーカーからサーファーへの呼びかけが行われる様子。
飛行中は、サイレンとともに、警報、注意報によって「ただちに高台に避難せよ」「ただちに海岸から離れてください」とメッセージが発せられる。
今回の「BEPポート|防災システム」導入により、サーファーや観光客、地域住民を問わず、広域かつ迅速な避難支援と状況把握が可能となり、一宮町における災害対応体制は一層強化されたカタチだ。
ブルーイノベーションによると、今後は全国の自治体・公共団体への導入を積極的に推進し、特に人手不足や高齢化が進む地域における「無人防災インフラ」を標準化するべく社会実装を目指すとのこと。
当日は公開に先立ち一宮町役場にて式典が行われ、一宮町サーフィン業組合の鵜沢清永氏と地元一宮出身のプロサーファー岩見天獅からのメッセージが読み上げられ、サーファーや地元住民だけでなく観光客の命を守る仕組み作りと安心して生活できる街づくりを目指す意思も伝えられた。

我々サーファーにとっても、災害発生時にいち早く避難行動を取るきっかけとなるこのような取り組みが標準化されることは、これからの災害対策として非常に重要かつ、一人でも多くの命が救われるようなシステムがまた一つ増え今後の更なる技術の発展に期待がかかる。