和光大が切り拓く、プロサーファーの新たなセカンドキャリアの道。
プロサーファー、映像クリエイター、サーフコーチングトレーナーなど様々な肩書きを持ち、多方面で活動中の和光大(わこう・だい)さん。サーフィン大国として知られるオーストラリアに長年滞在し、サーフィンスキルだけでなく、コーチング技術も習得。英語力を活かしWSLでの通訳やコメンタリーとしてアジアの大会を回りつつ、自身のコーチングレッスンにはこれまで150名以上の生徒を輩出する人気講師でもあります。本記事では和光さんのサーフィンの出会いから、決して順風満帆ではなかったキャリア生活、オーストラリアでの留学体験、そして今後の目標などを語っていただきました。
高校からサーフィンの名門校に留学。
ーサーフィンをはじめたきっかけは?
父親の趣味がサーフィンだったこともあり、週末は横浜から湘南や千葉の海に出かけていました。最初は砂浜で遊ぶだけで、あまり興味はありませんでしたが、小4の夏、辻堂で初めてサーフボードに乗せられたことが最初のサーフィン体験でした。ただ、周りにサーフィンをやっている友達は少なく、あまり乗り気ではなかったのですが、未来の自分に宛てた手紙には「プロサーファーになっていますか?」と書いており、どこかでサーフィンを本気でやる意識が小さい頃からあったのかもしれないですね。父のスパルタ教育と自分の負けず嫌いな性格もあってサーフィンを続けるうち、徐々にのめり込んでいきました。その頃には、波があれば湘南で朝サーフィンをし、そのまま辻堂駅から学校に通う生活をしていました。
ー高校からオーストラリアへ留学した経緯を教えてください。
高校からサーフィン留学することは、当時は珍しく、僕は中1の頃から海外留学を視野に、毎日サーフィンができる湘南に引っ越し、準備を進めていました。オーストラリアではホームステイをしながらスポーツに力を入れている公立高校に通い、サーフィン部に入るためのトライアルを受けて合格しました。そこからは毎日サーフィンに明け暮れる生活でしたね。
ー留学生活で一番の収穫は?
現在も活躍するオーストラリアのプロサーファーとサーフィンの練習ができたことです。彼らとの生活で、サーフィンを純粋に楽しむマインドを養うことができました。また、オーストラリアは「週末=ビーチ」という文化が根付いており、海辺のカフェでモーニングを楽しむなど、海と密接に関わる生活スタイルは今でも自分の中に強く残っています。
原点を見つめ直すため再び渡豪。
ー印象に残っている試合は?
ルーキーイヤーに優勝した試合です。帰国直前に足を骨折し、精神的にも辛かったですが、良いトレーナーに出会い、ハードなリハビリを乗り越えた末に優勝を果たせました。その年は特に印象深いです。
ー再びオーストラリアに戻った理由は?
24歳の時、試合で思うような結果が出ず、壁にぶつかりました。理想と現実のギャップに悩み、もうサーフィンをやめようかと考えるほどでした。そこで原点であるオーストラリアに戻り、サーフィンと向き合う時間を取りました。その結果、サーフィンの楽しさを再認識し、試合でも結果が出始めましたので、オーストラリアが自分には合っているんだと思います。結果的にオーストラリアには8年以上滞在していることになりますね。
映像制作、コーチング、幅広く活動中。
ードキュメンタリー映画を制作した理由は?
世界一周の旅で訪れたモロッコが人生の転機となり、ドキュメンタリー映画制作のきっかけとなりました。キラキラした目の子供たちが、ゴミを当たり前のようにポイ捨てをする姿が、日頃からビーチクリーンに向き合っている自分にとって、すごく衝撃的だったんです。そんなゴミだらけの市街地から少し車を走らせると、手付かずの美しい自然が残っており、何とも表現し難い感動を覚えました。そのコントラストが忘れられず、同時に危機感を感じ、自分ができることはないかと考えた時に、映像で伝えることを決めました。vlogとして世界一周の模様をYouTubeで投稿していて、反響もいただいていたので、自分にしかできないことだと。手掛けたドキュメンタリー「Breath In The Moment」は、環境問題だけでなく、「今を生きるとは?」というテーマで、見終わった時の感情を大切に、これからの人生を歩んでほしいというメッセージを込めました。
ーコーチングをする上で大切にしていることは?
運営している「和光大のSurf Studio」では、オーストラリアで学んだコーチングスキルを活かし、なかなか言語化できないサーフィンを、論理的に解説しており、好評をいただいています。サーフィンで一番大切なのは固定概念をなくすことです。僕自身も昔は固定概念に取り憑かれていたのですが、フラットにサーフィンと向き合えている今の方が、試合に出ていた頃よりも上達した自覚があります。だからこそ、サーフィンを楽しむ全員に伝えたいという熱い思いを持っています。ぜひ一度僕のコーチングを受けてみてください!
誰もやっていないことに挑戦したい。
ー今後の目標は?
物事の本質を見極め、0→1を生み出すプロデューサーになりたいです。そしてこれからもサーフィンを軸に、プロサーファーの新たなキャリアを切り拓いていきたいです。活動の幅を広げ、若い世代のロールモデルになれたらと思います。そのような存在になるには、サーフィンもレベルアップしていくことが大前提だと思うので、貪欲にチャレンジすることを忘れずに、上達に努めていきたいです。
ー和光さんにとってサーフィンとは?
ライフスタイルです。特別なものでもあるし、当たり前なものでもある。試合だけに集中していた時はプライベートとサーフィンを切り分けて考えていたのですが、だんだんとうまく融合できるようになりました。世界一周していた時に、「サーフィンをやってて良かった」と何度も思いました。サーフィンを通じて友達になれたり、現地の方からリスペクトされたり。そういう意味では自分の価値を高めてくれるものがサーフィンだと思います。サーフィンをやめてしまうと、自分のこれまでの人生を否定する感覚にもなります。だからこそ、サーフィンはライフスタイルで、今もこれからも自分の人生において切り離せないものだと思います。