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獣医師 × 波乗りという生き方──松田和子が見つけた宮崎での幸せ

2025 8/23
インタビュー ニュース
2025年8月22日2025年8月23日
Photo by 久保 徹

愛知県岡崎市で生まれ育ち、宮崎大学への進学をきっかけに、南国・宮崎へ。
卒業後は地元愛知に戻り、動物病院で約8年間、勤務医として働き、現在は宮崎の地に根ざし、獣医として20年以上にわたり様々な現場で働いてきた。
もうひとつの顔はボディボーダー。海とともに生きる日常は、だたの趣味にとどまらず、コンペにも積極的に出場し、より上を目指し挑戦し続けている。
──獣医師として働く日々の中で、波と過ごす時間は彼女にとって何を意味するのか。宮崎の海に通い続ける理由。愛知から来た彼女がこの地に根を下ろしたわけ。そして“命と自然”というテーマの中で輝き続ける秘訣は。宮崎木崎浜をホームブレイクとする松田和子さんの生き方は、多くの人にとって「自分らしく生きるヒント」になるのかもしれない

目次

「岡崎から南の海へ」──松田さんが宮崎をえらんだ理由

──宮崎の大学を選んだきっかけ 

獣医師になるためには大学の獣医学科(6年間)を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。現在でもそうなのですが、国公立大学で獣医学科がある大学は11校しかありません。私立大学にも獣医学科はありますが、6年間の学費の面を考えると選択肢は国公立大学に。

当時「動物のお医者さん」という獣医をめざす学生の生活を描いた漫画がブームになった影響もあり、獣医学科の人気が上がり始めた頃で入試の倍率も偏差値も高くなり始めていて、私の成績からすると宮崎大学が入学できる可能性が一番高かったからというのが理由ですね。だから、特別なにか宮崎に思い入れがあったとか、そういうことではありませんでした。

獣医学生時代

                    

──宮崎への移住を決めた理由 

私の育った岡崎市もそんなに都会でもないのですが、大学進学で宮崎に住み始めた時はそれなりのカルチャーショックを受けました。岡崎ではあまり見たことのないパームツリーが国道沿いに生えていたり、何よりテレビがNHK2局と民放2局しか入らないことを知った時には「なんて田舎に来てしまったんだ」と結構不安になりました(笑)ちなみにあれから30年以上経った今でもテレビの局は増えていません(笑)

卒業後、愛知に戻りましたが、再び宮崎に移住することを決めた理由は、サーフィンがしたいからというのはもちろんですが、大学時代に知り合った人が宮崎に何人か残っていたので安心感もあったし、何より環境が良い!
例えば今、私が住んでいる所は、海へも車で10分、市役所まで15分、空港まで5分、高速の入り口まで5分、フェリー乗り場まで20分というように生活に必要な施設がコンパクトにまとまっていて非常に便利なんですよね。あとはよく言われているけど、人が温かいこと、食べ物が何を食べても美味しいことですね!

    

──周りでも移住されている方がいたりしますか?

はい、いますね。
私が行っているサーフショップのオーナーは大阪からの移住ですし、その奥様は東京からの移住です。むしろ私の周りは職場も含めて移住者のほうが多いですね。
職場は獣医という仕事柄、全国から人が来ますし、職場以外の友人はサーファーが多いので。

                  

──宮崎のサーフィン文化の変化について 

これは木崎浜においての私の感覚的なものなのですが、私がサーフィンを始めた頃は割とコアなローカルサーファーが中心だった印象でしたが、現在はプロを目指していたり、コンペを頑張っている子供のために波がある環境を求めて家族で移住してくる人などの移住者も増えて、そういった移住者の方同士のコミュニティがあったり、移住者以外でもサーフトリップで来られる方も昔より多くなっている印象があります。
元々、木崎浜やお隣の青島サーフポイントは誰に対してもオープンなポイントで初心者から上級者まで皆が楽しめる。それがそういった変化の要因の一つかもしれません。また、青島周辺の再開発によって、湘南みたいに自転車でボード抱えて海に行くという姿が当たり前のように見られるようになり、湘南ほど大規模ではないにしろ、「サーフタウン」化して来ているなぁと思います。

宮崎市への県外からの移住者は福岡、鹿児島、東京の順に多いそうなのですが、青島地区への移住者に特化すると、大阪、東京、神奈川の順になるそうです。青島への移住者はやはりサーファーが多い印象があるので、サーフィンで移住してくる人は関西からが一番多いのかもしれませんね。
あと、昔はそんなに多くはなかった「サーフガイド」が全国的な視点で見てもかなり増えて定着して来ているなぁと思います。私の行っているショップでガイドやスクールを利用している方々をみていて、ガイドやスクールをきっかけで仲良くなった人同士が宮崎から帰ったあとも、地元で食事に行ったり遊びに行ったりというのを聞くと、そういう場の提供にもなっているのは素晴らしい事だなと思います。

ほかにもサーファーさんが経営するレンタカー屋さんが増え、レンタカーにバケツやハンガー、キーロックなどサーフィンに必要なグッズがついてくるサービスがあるといったところもありますし、ホテルによってはウェット専用の乾燥室があるところもあるそうです。
また、ボードやウエットのレンタルをやっているショップもあり、私の行っているショップでも出張の合間にスーツ姿でやってきて、「仕事だけどせっかく宮崎に行くなら海に入りたい!」という方がボード、ウェットなど一式借りて、仕事終わりや空き時間に波乗りをするといった風景もよく目にしています。
出張に板やウェットを持っては行きにくいものですもんね(笑)

                   

──特に青島エリアの発展が目覚ましい 

青島地区がかつての観光地としての衰退が目立つようになり、今から10年前に行政が補助金を助成し、民間のプロデューサーと連携しながら青島の再開発に取り組んだんです。そうして最初にできたのが「AOSHIMA BEACH PARK」。
まるで海外のビーチリゾートのようなフォトジェニックな空間にパラソルやベンチが設置されて、コンテナの飲食店が数店立ち並んでいて、海を見ながら食事をしたり、コーヒーブレイクを楽しんだりが出来ます。
はじめは海水浴客の集まる夏季限定営業だったのですが、現在では常設になっており、観光客のみならず地元の人も含め賑わっています。また、「子供の国」という観覧車やスワンボートなどがあったいわゆる小さな遊園地施設も同じプロデューサーの方のもと「AOSHIMA PICNIC CLUB」という、全く違うタイプの施設に様変わりし、食事ができるカフェやコーヒースタンド、キャンプ場、バーベキュー施設、ドックランなどがあり、イベントを行ったりして観光客のみならず地元の人の取り込みを積極的に行っています。こういった施設を皮切りに、一気に新しい飲食店、高級なリゾートホテルやコンドミニアム、結婚式場などがふえ、10年前の青島しか知らない人が久しぶりに来たら、かなりびっくりすると思います(笑)

AOSHIMA BEACH PARK
https://aoshimabeachpark.com/

          

──そんな松田さんの木崎浜周辺おすすめスポット !

NEW WAVE サーフショップ

Photo by 久保 徹
Photo by 久保 徹

私が波乗りを始めたときからお世話になっているサーフショップ。オーナーの池田雄一くんはプロツアーで優勝したこともあるプロボディボーダーで、私のボディボードの師匠でもあります。サーフィンも上手で、サーフィンスクール・ボディボードスクールどちらもやっています。木崎浜から車で5分ほどなので、トリップの際、わからない事などあったら気軽に訪ねてください。ボード・ウェットのレンタルやサーフガイドもやっています。またボディボードを取り扱う店舗が少ない中、おそらく西日本最大のボディボードとフィンやリーシュなどのギアの品揃えを誇るショップです!
「NEW WAVE」
住所:宮崎県宮崎市大字熊野1315-1
https://newwavesurf.shop/

 

民宿みさき荘

青島サーフポイントまで徒歩1分!宿泊のほかランチ営業もしていて、チキン南蛮やカレーなどがあり、どれも美味しいですが、私の一番のおすすめは「ロコチキ」です。自家焙煎珈琲も人気で、クラフトビールの製造、販売にも携わっていますよ。宿泊者向けにサーフボードレンタルや自転車の貸し出しもしてくれます。
「民宿みさき荘」
住所:宮崎県宮崎市青島1-5-4
https://www.misakisou.com/

 

ながはし果物店

ボディボーダーさんが店主の果物屋さん。果物とフレッシュジュースの販売をしていて、定番のバナナジュースやイチゴミルクのほか、旬のフルーツを使った季節限定ジュースもあります。特に夏の「スイカスムージー」と秋の「栗ジュース」は絶品です。
「ながはし果物店」
住所:宮崎県宮崎市江平東1-2-14 TOKIWA15ビル
https://www.instagram.com/nagahashimasataka/

    

アクアポット

木崎浜にも近く、ピザとパスタの他、様々なアラカルトが楽しめるお店。何を食べても美味しいけど、イカスミパスタと津本式究極の血抜き(これが何かはネットでググってくださいw)で処理された季節の魚のカルパッチョは是非一度食べてもらいたいメニューです。
「アクアポット」
住所:宮崎県宮崎市熊野1104
https://acquapot.com/

      

SANBARCO

それこそ、青島の再開発が始まってからできたお店の1つで、私的には日本で一番タコスの美味しいお店だと思っています(あくまでも個人の意見ですw)。タコス以外も様々なアラカルト、カレーやパスタ、ブリトーなどもあり全部美味しいです!
「SANBARCO」
住所:宮崎県宮崎市青島2-8-11
https://www.instagram.com/sanbarco0706

     

GOOD DAYS

アメリカンテイストのおしゃれな雰囲気で、ハンバーガーの他、ロコモコやガーリックシュリンプ、タコライスなどなどがあります。カフェタイムも楽しめて、ボリューム満点のパンケーキも人気です。
「GOOD DAYS」
住所:宮崎県宮崎市熊野1330-3
https://www.instagram.com/thegooddays_official

「獣医師として、ボディボーダーとして」──獣医師の道の選択

──なぜ獣医師という道を選んだのですか?

子供の頃から動物が好きで小学生の頃は「シートン動物記」「ファーブル昆虫記」が愛読書で、テレビは「野生の王国」「動物奇想天外」(どちらも残念ながら放送終了w)が大好きでした。こういったこともあって、野生動物の保護にも興味があったりして、獣医になりたい!というよりは漠然と動物に関わる仕事がしたいと思っていました。
そこで、とりあえず何をするかはさておいて、動物がらみの仕事をするなら獣医師免許はプラスになることはあってもマイナスになることはないだろうと思ったのが選んだ理由です。

      

──動物病院勤務から現在の仕事への移行

動物病院勤務の時

大学を卒業後は地元愛知に帰って、2つの動物病院で計8年ほど働きました。どちらの病院も朝8時ごろ出勤し9時から20時までの勤務で、12時から16時は昼休みと手術時間でしたが、手術がたてこんだり、診察が長引いたりすると初めて座って昼食を食べたのが17時なんてこともざらにあり、診察時間終了後に緊急オペが入れば帰宅が0時を過ぎる事もありました。
もちろん大きな遣り甲斐(やりがい)もあり、それなりに楽しい事、嬉しい事もたくさんありました。
ただ、忙しい日が続くと、休みの日も掃除や家事に追われたり、ぐったりして出かける気力もなくなることもあったりで。そんなだったので、海に行くことからも遠のき、その頃は月に2〜3回海に行けたらいいぐらいになっていましたね。海までの距離が遠かったのも大きな要因だったと思います。

そんな中、30歳を過ぎたあたりから、自分の将来について真剣に考えるようになりました。
元々自分には経営の才能はないと思っていたし、そこまで勤めた動物病院から独立して開業する意思は全くありませんでした。そもそも、プライベートと仕事は切り離したいタイプの人間なので、もし開業して自分の病院を持ったら、自分の性格上、診察時間外も休みの日も常に診ている動物や入院している動物のことを考えてしまうだろうというのもあったので(勤務医の時ですら、それはあったので)。
かといって、当時勤めていた病院の院長とも話したのですが、勤務医として定年まで働けるのか?雇う側もそれを保証はできないし、給料も昇給には限界があるだろうし、退職金の保証もない。そんな状況の中で、やっぱり波乗りがしたい!違う仕事の道を模索してもいいのではないかと考え、宮崎に移住を決め、今の仕事に就くことになりました。

                

──獣医師の多様な仕事内容 

獣医師の仕事というと、「動物病院の先生」というイメージしかない方がほとんどだと思いますが、実は獣医師の活躍の場は非常に多岐にわたっています。
かくいう私もそれを知ったのは大学に入った後でしたから(笑)、どのような仕事の場があるのかざっくりですが紹介したいと思います。

臨床獣医師:いわゆる動物の診察、治療を行う獣医師で、大きく「小動物臨床獣医師」と「大動物臨床獣医師」に分かれます。「小動物臨床獣医師」は皆さんが一番多くのイメージをもっていらっしゃる、いわゆる「ペットの診察」をおこなう獣医師です。一方「大動物臨床獣医師」は牛や豚といった、いわゆる「家畜の診察」を行う獣医師です。

公務員獣医師:あまり知られていませんが、実は公務員として活躍している獣医師もたくさんいます。
一つは国家公務員として、農林水産省に入省して動物検疫所や家畜改良事業団などで働いたり、厚生労働省に入省して、感染症対策(特に動物から人に移る動物由来感染症など。例えば狂犬病やデング熱等)、食中毒対策や、食肉・食鳥肉の安全対策や残留農薬の監視、食品の輸出入の対策監視等を行う獣医師があります。
もう一つは地方公務員として県や市の職員として、保健所で狂犬病予防対策・動物愛護の啓蒙や、食中毒対策、また飲食店や旅館、温泉施設などの衛生監視をしたり、家畜保健所で家畜の伝染病対策監視をする、食肉衛生検査所で屠畜場や食鳥処理場の衛生監視をするなどといった仕事を行う獣医師があります。
よくニュースなどで、温泉施設からレジオネラ菌が出たなんていった話題を見聞きすることがあると思いますが、ああいったことの監視も獣医師の仕事だったりしますよ。

企業で働く獣医師:いわゆるサラリーマン獣医師もいます。主なものとしては製薬会社や食品加工会社(森永乳業やマルハニチロ、日本ハムなどなど)があげられます。製薬会社で薬の開発をしたり、乳製品の会社であれば自社牧場の乳牛の診察をしたり、乳酸菌の研究をしたり、といった分野で働く獣医師です。

動物園・水族館獣医師:先の「臨床獣医師」分野の仕事ではあるのですが、展示動物の診察の他、健康管理であったり、種の保存に関する研究や活動、展示動物のQOL(生活の質)の向上に関する取り組みなども行っていて少々別分野の扱いになっています。

学校の先生:大学の時に必要単位を取得し、教育実習等に行っていれば、教員免許(高校生物等)を取得することも可能です。

                    

──さて、私の現在の仕事はというと、先にも紹介しましたが、県の職員(正規職員ではなく嘱託職員ですが)として、食肉衛生検査所というところで食肉衛生管理の仕事をしています。

これもあまり知られていませんが、家畜、家禽の食肉は全てにおいて、獣医師が検査合格を出した物しか出荷ができない事になっています。
食肉衛生検査所の獣医師は毎日、屠畜場や食鳥処理場に出向き、解体前と解体後の枝肉及び内蔵(いわゆるモツですね)の検査を行ったり、屠畜場、食鳥処理場内の衛生管理がしっかりなされているかのチェックや従業員が清潔に作業を行っているかなどのチェックもします。また、定期的にお肉の残留抗生物質検査なども行っています。
公務員という点で、休暇も取りやすく、雇用制度もしっかりしており、嘱託に関しては定年が設けられていないので、働ける体がある限り働くことができるという点は非常に大きな利点でもあります。何より今は自宅から海への距離が近いので、仕事前や仕事後に波乗りに行く事ができ、生活もとても充実しています。

                

──これから獣医師の将来的な課題
 
やはり基本的に獣医師を目指す人は「動物病院の先生」になりたい人がほとんどなので、公務員や家畜診療をする獣医師が不足しています。
元々は男性が大半だった獣医学科も私が入学したころから男女比が半々くらいになり、今では女性の方が多い大学も増えていて、こういった傾向も特に家畜診療をする獣医師のなり手の減少に少なからず影響していると思います。日本に関しては、おそらくこの先、人口が増えていくことはなく、動物病院の絶対的な必要数は頭打ちが来るのは確かで、安定した収入を得て自分らしく生きる道を模索するときに、動物病院以外にも多彩にある獣医師の活躍の場から自分のライフスタイルにあった道を選んでもらえたらよいなぁと思います。

実際、私も今の仕事は未知の世界でしたが、やってみたら、意外にやりがいもあり、日々発見もあり、世間的な認知度は低いけれど、誇れる仕事だと思っています。だって、私達がいなければ、牛肉も豚肉も鶏肉もお店に並ばなくなるし、飲食店で食べることも出来なくなるのですからね(笑)何より本当の意味で「命」に向き合う現場なのかもしれません。

屠畜場(とちくじょう)で日々働いていて思うことは、「命を頂く。いただきますの気持ち。」を忘れてはいけないなという事ですね。

「波のある暮らしが、私の答えだった」──移住×仕事×趣味のリアル

Photo by 嶋住和朗

──県職員としての仕事と波乗りのバランス

宮崎県では、獣医師の嘱託職員は月に最大20日まで働くことが出来て、何日働くかはこちらで決めることができます。私は、現在マックスの月20日勤務していて、基本的に週休2日ペースで働いています。
屠畜場や食鳥処理場は土曜や祝日の操業もあるので、土日祝日に勤務した場合は、平日の休みもあるし、平日休みは海も週末よりは空いているし、商業施設や映画館とかも空いているので、月に何回かあるとやはり良いですね。正規職員の方が当然各種手当も充実して給与も良いのですが、定期的に異動があり、海からはなれた山間部とかの勤務になったりすると、海まで2時間、3時間かかるような場所もあるため、今の嘱託職員を選択しました。というのも、食肉衛生検査所は県内に5つあるのですが、どこの勤務になっても海に近い自宅から通えますので。
私にとっては波乗りができる環境でないと本末転倒になり、宮崎を選んだ意味がなくなってしまいますからね。

         

──サーフィンと仕事の切り離し 

私の場合は、波乗りをしている時間は仕事の事を忘れる時間ですね。仕事と趣味のオンオフをしっかりつけたいタイプなので。とは言え、動物病院勤務時代は、休みの日も自分が診ている動物のことをどうしても考えてしまっていました。臨床獣医師としては当たり前の姿なのかもしれませんが。
そんな中でも波乗りに行き、いい波に乗った時はしばし仕事の事を忘れさせてくれる貴重な時間になります。

       

──サーファーから始まり、いまはボディボーダー

photo by 越智孝之

もともと、どちらかというと海は嫌いでした(笑)。磯臭いし、海水ベタベタするし(笑)。
そんな私が波乗りを始めたきっかけは大学時代、同じアパートに住んでいた獣医学科の同級生がサーフィン(ショートボード)を始めて、面白いから一緒にやろうと誘われてでした。やり始めたら、その友達と「どっちが先に立てるか」、「どっちが先に横に走るか?」みたいな競争感覚で楽しくて。お互い、原チャリサーファーだったので、朝、海に行く時に友達の原チャリがまだアパートの駐輪場にあると「よっしゃ!私の方が先や!」みたいな(笑)
学生時代はとにかく波乗り中心の生活で、友達と時々ちょっと遠くのポイントに行ったりしながら、ただひらすら波に乗ることが楽しかった。

10年ほど前からボディボードを始めて、地元の大会でビギナークラスで優勝したことがきっかけでコンペに興味をもつようになり、上達への意識が高まったため、今は「練習」というイメージで取り組んでいる部分もありますが、上手くなったらより楽しい!と思っているので、練習といえども楽しめています。
あとやはり、仕事あっての生活であり、波乗りであるので、仕事としっかり両立するということ。特に仕事の前や、仕事の後でも翌日の出勤が早い時などは長く入りすぎないように1時間程度と決めて入るようにしています。食肉検査の現場は結構体力がいるので、やりすぎてしまうと仕事に差し支えるので(笑)。

2024年アマチュア最高峰の全日本選手権で優勝(一番左)

         

──小学生たちからも「まっちゃん」と呼ばれる存在
 
私のホームポイント木崎浜は、ビギナーから上級者まで楽しめることもあり、小学生から還暦を過ぎた年齢の方まで、本当に幅広い年代の人達が交流できる場所でもあります。
中学生くらいの男の子とかになると、私ぐらいの年代の女の人とは積極的にコミュニケーションをとろうとしなくなることも多いと思うのですが、私は子供好きなので、結構積極的に話すようにしています。というか、多分私の精神年齢が低いので子供たちと話すのが楽しい(笑)。学校の事を聞いたり、試合の話だったり、時には恋愛の話だったり(笑)。子供たちから「まっちゃん」って呼んでもらえて、同じ目線で話せることがすごく嬉しかったりしますね(笑)。
あと、様々な理由で海から遠ざかっていた人達が、時間が出来て波乗りに復帰し、木崎浜に久しぶりに来た時に、知らない人がたくさんになっている中、変わらず私がいて安心したよって言われたことがあって。それは長く波乗りを続けていて良かったなと思えた出来事でした。
多分、私は「木崎浜のまっちゃん」というイメージが強いのでしょうね。たまにほかのポイントに行くと「どうしたの?珍しい!」って言われます(笑)
あと、波乗り始めてからあまり風邪をひかなくなりましたね。お日様の光をたくさん浴びてるからか、骨も丈夫みたいです!
先日初めて骨密度の検査を受けたのですが、20代の平均値より丈夫ですっていわれて、嬉しかった(笑)。

「自然環境とサーフィン文化」──問題意識を持つことの大切さ

──環境保護にどう関わっていくか
 
普段から海で過ごすサーファーって自然に近い存在で、海の環境の変化も身近に感じていると思います。わかりやすい変化としてはやはり海水温の変化でしょうか。今年(2025年)は特に木崎浜は夏に入ってもなかなか海水温が上がらず、例年だったらもう海パン・タッパーの季節になっても、なかなかロンスプやシーガルが脱げなかった。そういうなんかおかしいよねって事が増えてきている。
夏の雨も、晴れてるのに突如、土砂降りになって5分で止むみたいな、まるで熱帯地域のスコールのような降り方をする、まさに気候変動を感じてしまう。

このフラッグには”戻り”と書かれていた

あとは目に見える変化としての海岸浸食ですね。本当に私が大学生の頃に比べて砂浜がなくなってます。私達が目にするもので分かりやすく影響を受けているのは、砂浜に産卵に来るウミガメでしょうか。
宮崎では野生動物研究会のメンバーが毎年ウミガメの産卵調査を行っています。夜中、砂浜で産卵にくるカメを調査します。産卵した場所にフラッグを立てます。きちんと産卵すればフラッグには日付と「産〇」と書きます。ところが砂浜が少なくなって、産卵に上がってきたものの、堤防につきあたったり、埋められていたテトラなどが露出してたりして穴が掘れなかったりなどで、卵を産まずに帰ってしまうこともしばしばあります。その場合フラッグには「戻×」と書かれます。
浜でこの戻りのフラッグを見ると心が痛くなります。

これらの地球規模の変化に対して、個人の出来る事なんて限られてるかもしれないんですけど、ほんの小さなことでもいい、例えばワンハンドビーチクリーンとか、環境に優しい商品を選ぶとか、残さずご飯を食べるとか、些細な事でも日常のちょっとした気遣いや行動をとることで環境保護への意識変化につながると思います。無関心でいることが一番怖い事。地球は私たち人間だけのものではなく、たくさんの動物や植物も共に暮らしている。そういった生き物の存在を意識して思いやる気持ちを持てれば、自然に環境の変化に対する問題意識も出るのではないかなと思います。

こういった環境問題への取り組みを積極的にやっていく事でサーファーのイメージアップにもつながると思うし、より多くの人にもっと身近に環境の変化に関心と問題意識をもってもらえるとよいなと思います。それを子供たちにも感じてほしいし、そのためにはやっぱり子供たちと積極的にコミュニケーションをとることも大事だし、何より「尊敬できる大人」にならないといけないなと思います。私もがんばらなきゃ(笑)

     

──サーフィンやボディボードが教えてくれること

Photo by 嶋住和朗

サーフィン文化を育み盛り上げていくには、サーファーのモラルの向上とイメージアップが大事なんじゃないかなと思っています。
わかりやすい話だとサーファーが海難事故にあうと、サーフィンをしない人からは「こんな台風の荒れた海に入るなんて馬鹿じゃないのか。自業自得だよ。」と考える人が少なからずいるのではないかと思います。すべてがそうではないにしろ、こういった事故って、ちゃんとした知識があれば未然に防げることも多いと思うんですよね。
今はネットで安く、板もウェットも手に入る。サーフショップに行くことなく、独学や見よう見まねで始める人も増えてるのではないかと思います。でも本当はちゃんとサーフショップやサーフィン経験者に、波乗りの基礎、色々なルール、危険回避の知識をちゃんと教わらないと事故につながったり、サーファー同士のトラブルにつながったりする。だから、そういう無知なままサーフィンを始めてしまうサーファーを減らすことが波乗りを楽しむ人を増やし、サーファーのモラルの向上やイメージアップにつながるんじゃないかなと思います。

最近、不登校の子がものすごく増えてるって耳にします。その要因の一つがいわゆる「引きこもり」で、スマホやYouTube、ゲームに夢中になって、学校がつまらない・面倒くさいってなってしまう。でも、何らかのスポーツをやってる子って、そういう事が少ないように思います。
今の子供たちは少なからず、デジタルとは切り離せない環境にあります。学校でも1人に1つ、iPadを持たせて授業するのが当たり前になってきている。そんな中でデジタルに依存せずにすんでいる子って、外で遊ぶこと、体を動かすことの楽しさを知っている子のような気がします。
ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、お日様の光を浴びて、体を動かす。こうすることで心も体も健康健全に育っていくんだと思います。そういう意味でも波乗りをやることは良いと思っています。
先にも話しましたが、幅広い世代の人と接することができることもいいことだと思いますね。私も子供の頃は運動音痴で、周りの人とうまくコミュニケーションをとれなかった時期もあったのですが、中学校でテニス部に入ると運動能力も向上。そして、テニスを通じて仲間が出来て、高校で県大会に出場した経験によって自分に自信が持てるようになりました。
過信はだめだけど、自信を持つ、自己肯定感を高める事は子供たちにとっても大事だなぁと思います。

最後に、ぜひ波乗りの楽しさを語ってください!

──思い出のサーフスポット
 
あげるとすれば徳島県の「海部」でしょうか。ショートボードに乗っていた時、千葉公平さんがシェイプしている303 surfboard の板に心酔してまして(笑)。 公平さんが好き過ぎて、一時期は公平さんが住んでいる徳島に毎年1週間くらいトリップに行ってましたね。その時はほぼ毎日、海部に入らせていただいてました。有名なポイントなのでご存知の方も多いと思うのですが、河口の玉石ブレイクで、何よりドルフィンした時に聞こえる、波で玉石が洗われる音がすごく好きでした。ロケーションも波もほんとに素晴らしいポイントだと思います。あとは宮崎では自分の人生で一番大きな波に乗った某リーフポイントかなぁ。

逆に最も怖かった体験もあって。
宮崎で行われたISAのワールドサーフィンゲームスの大会が終わった後、台風が来ていた際にリーフで人気のポイントには多くの外国人サーファーから地元のサーファーが入っていたため、私は近くにある普段波の立たないテトラポッドのあるビーチでサーフィンをしていたんです。その時はマックスでダブルサイズくらいの波が割れていて、陸からは良い波に見えましたね。ただ実際入ってみると結構危険な波で、ついにテトラの近くで巻かれてしまってその時に溺れかけた経験があり、それが最も危険な体験でしたね。
自分の能力を過信せず、波の大きな時はしっかりと状況判断して入水することを覚えました💦

           

──ショートボードとボディボードはどう違ってどう同じ?

どちらもやってみて、同じように感じる部分は、波の上を走るスピード感とか爽快感や、波との一体感でしょうか。
違う面は、ボディボードは腹ばいなので、サーフィンより目線が低く、体全体が波に乗ってる感じで、より波の力や迫力を感じられるような気がします。
あとはボディボードじゃないと入れないようなコンパクトなチューブとか、ショートボードだとテイクオフを躊躇するようなショアブレイクにも突っ込めるところでしょうか(笑)。

       

──これだけはみんなに伝えたい

Photo by 久保 徹

私がボディボードを始めたのは40歳を過ぎてからでした。だから、ボディボードを続け、コンペを続けることで、周りの人達に「何かを始めるのに遅すぎることはないんだ!」「私も何かやってみよう!」という挑戦することへのモチベーションを持ってもらえたり、「私もいろいろ頑張ろう!」と思ってもらえたりしたら嬉しいなぁって思ってます!

私の両親は子供の時から何かをしなさいと強要する事はなく、やりたいと言う事も基本反対する事はありませんでした。今思えば、私が獣医師になれたのも、宮崎で波乗りに集中して、時にコンペで結果を出せているのも、ただ見守り応援し続けてくれている両親のおかげだと思っています。
だからというわけではないし、子育てをしたことがない私が言うのもおこがましい話なのですが、子供の「やりたい!何かになりたい!」って何かに挑戦する気持ちは出来る限り応援してあげて欲しいなぁと思います。挑戦した結果が必ずしも思い通りにならず失敗に終わるかもしれません。それでも「挑戦をした」という事をたくさん褒めてあげて欲しい。
子供は可能性の塊だと思います。大人が「おまえには無理だ」「どうせ出来ない」って決めつけては勿体ない気がするんです。少子化が進む中、これからの日本を支えていく子供達の未来が素晴らしいものになる事を願っています。

最後に私自身、木崎の子供達に負けないよう、まだまだ挑戦を続けていこうと思うので、頑張れ!って応援してもらえると嬉しいです!(笑)宮崎に、そして木崎浜に来る事があれば、「まっちゃん!」って気軽に声をかけてくださいね!

                

編集後記
今回、TBSゴゴスマのテレビリポーターである堀真奈美さんからのご紹介で、ボディボーダー繋がりであり動物愛護などの接点を持っていた松田和子さんをつないでいただき、色々なお話しを伺うことができました。
お聞きしたところ、この2人は出会ったことがないらしく、SNSを通じて交流を深めているということで、驚きつつも時代だなーと、変に納得してしまいました。

話を聞く中で、獣医師さんとして動物の命に向き合い、多岐に渡る仕事内容など赤裸々に語っている姿は真剣でかつ動物や自然に対する愛を感じ、前向きで大らかで元気な松田さんならではの考え方や、ボディボードや海への感謝と自然への思いが伝わってきた、とても良いインタビューになりました。
この記事を読んで、波乗りしながら獣医師を目指すきっかけになったり、宮崎へサーフィンしに行く機会がある方がいらっしゃったら、ぜひ木崎浜に訪れて真っ黒に日焼けしたボディボーダーの”まっちゃん”に声をかけてみてください!きっと新しい繋がりや発見、パワーをもらえると思いますよ!

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サーフィン歴30年、永遠の中級サーファーでフリーサーフィン志向。一方で思考は小学3年生で止まっている。チームでのポジションはみんなの繋ぎ役ってところでしょうか。なのでいろいろな企画を通して読者のみなさんとなみある?をつなぐ役割にもなれたらうれしいです!

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