
今回お話を伺ったのは、株式会社ケンロック代表取締役社長であり、一級建築士の岩切剣一郎さん。カルフォルニアスタイル住宅の火付け役としても知られる彼が掲げる「ROCK YOUR LIFE!!」の理念には、海の自由さと建築の機能性を融合させた独自の視点が込められています。サーフィンを始めたきっかけから、仕事で心掛けていること、さらにはまちづくりに対する思いまで。建築とサーフィン、二つの異なる要素が交差する場所で、岩切さんが描く未来のライフスタイルとは? 人生を楽しみ尽くす、その情熱を深掘りします。
様々な挑戦を経て独立、確かなスキルを築いたキャリア。
ーまずはご経歴を教えてください

宮崎県出身で、学生時代からクリエイティブな仕事に興味があり、CADが学べる建築デザインの専門学校に入学するために上京。ちょうど日本ではイームズブームが到来した頃で、カリフォルニア発のインテリアやデザインに興味を持ち始めており、なんとなく建築系に進むだろうなと感じていました。
しかし卒業後、バブル崩壊の影響で希望する職種に就けず、神奈川県のゼネコンに勤務。現場監督として働きながら、2級建築士の資格を取得し、その後設計事務所に転職しました。

さらに、一級建築士の資格も取得し、デザイン事務所に移り、現場・設計・デザインの基本を学びました。
当初から独立したいと思っていたので、集客力やコンセプト設計、ビジネスマネジメントスキルを学ぶため、枻出版社に入社。
建築事業部を立ち上げ、「カリフォルニア工務店」を展開。当時、枻出版社ではライトニングやNALU、サーフトリップジャーナルなどサーフ系雑誌メディアや、バイク、ゴルフメディアを出版していたので、それらの読者やクライアントにアプローチをする形で、「カルフォルニアスタイル」を提案しました。

そうした中で、日本の資源である「海」をコンテンツとし、カルフォルニアのようなオープンな雰囲気を参考にしながら、人・場所が活性化できるような街づくりや地方創生に貢献したいと思い、株式会社ケンロックを創業。「ROCK YOUR LIFE!! 人生にワクワクを。」をテーマに家づくりや街づくりに携わっています。
サーフィンとの出会いとその魅力とは。
ーサーフィンをはじめたのはいつ頃ですか?
就職後ですね。宮崎出身ですが、当時はサーフィンとは縁がありませんでした。周囲にサーフィンをしている人もおらず、身近に感じたこともなかったので、海に行くこと自体ほとんどありませんでした。
上京後、運転免許を取得した仲間たちが仕事終わりにサーフィンに行くようになり、楽しそうだなと思って、夏休み中に仲間に連れて行ってもらったことがきっかけです。

ー岩切さんにとって、サーフィンとはどのような存在ですか?
サーフィンは趣味というよりも、ライフワークの一部といった感覚です。
子供の頃、滑り台で遊んでいる時に「Hooo!」と叫んだことを覚えている方も多いと思いますが、大人になるとそのようなテンションではしゃぐことは少なくなりますよね。
波に乗っている感覚やロングライディングを楽しんだ時の気持ちよさは、まさに一期一会。私はサーフィンやスノーボードを通じて、大人になってもその浮遊感や興奮を味わっているのだと思います。

ー一番心に残っている思い出の波を教えてください!
種子島で貸し切りの波を味わった時です。
3〜4人でトリップに行った際、海には私たちだけで、面ツルの波を楽しむことができました。透き通る水で、底まで見えて、海パンで入れる季節だったので、非常に気持ち良かったです。
サーファー視点ならではの、機能性と居心地を追求する家づくり。

ー仕事で心掛けていることはなんですか?
これまで何百棟もの家づくりを行ってきましたが、「デザインをしすぎるのは良くない」と考えています。
デザインが複雑になるほど費用が高くなり、住みこなすのも難しくなります。例えば石を使う場合でも、メンテナンスが大変だったり、物が落ちると割れてしまう危険があったりします。
それよりは、機能的で住みやすい家づくりが基本で、新しく作った家というのは今の生活環境よりも快適でなければならないと思っています。その上で、少しだけデザインや心地よさを加えることで、家に帰った時に落ち着きを感じられるようにしています。そのバランスが絶妙で、お客様の満足度に直結すると考えています。
お客様の期待値が100%だとすれば、200%を目指すのではなく、120%を目指すのが理想だと思います。

ーサーフィンの経験が、建築にどのように活かされていますか?
海外風の建築デザインが得意な設計事務所に勤務していた際、お客様の中にはアメ車やハーレーダビットソンが愛車で、サーフィンが趣味の方がいらっしゃいました。そのようなお客様との会話が弾み、家づくりで取り入れたいポイントを理解することができました。
自分の知識や経験をもとに設計提案をすると、非常に喜んでいただけました。サーフィンをしていない方には、海から帰った後の家の動線をイメージすることは難しいですが、サーフィンをしている自分だからこそ寄り添えた部分です。これが大きな武器になると感じました。
サーフトリップから街づくりまで、岩切さんが描く未来。

ーサーファーとしての夢は何ですか?
海外のサーフトリップはあまり行ったことがないので、もっと行ってみたいですね。
自然の中でのスポーツなので、天気や波のコンディションが良くても悪くてもそれ自体が思い出になりますし、どこに行ったかではなく誰と行ったかが重要なのかなと。そして、その土地での人との出会いも貴重なものです。特定の場所にこだわることなく、サーフトリップそのものを楽しみたいと思っています。
サーフィンをしている人はオープンマインドな方が多く、そうした人とのコミュニケーションは非常に楽しく、大切にしています。今後はそういった繋がりがもっと広がっていけばいいなと思っています。

ー建築士としての今後の目標は?
いままで通り別荘や個人住宅、リノベーション物件における設計や施工を手がけながら、ケンロックとして、まちづくりや地方創生にも積極的に携わりたいと考えています。
建築家という枠に収まることなくお客様の生活がより豊かになるよう、単なる家づくりという概念にとらわれず、視野を広げて取り組んでいきたいと思っています。
湘南茅ヶ崎にある豊かな平家作りの岩切邸をご紹介
今後のトレンドとしては、豊かさを追求しつつ、シンプルな暮らしが求められていると感じています。いま、自分が平屋に住んでいるのも、コンパクトでシンプルな生活をしたいという思いからです。
それはつまり、広さや駅からの距離といった条件が重要視される時代から変化し、自分の好きな場所で、自然と共生できるような生活、いわゆるタイニーハウスのような暮らしが求められるのではないかと考えています。私自身もそのような暮らしを実現できる場所を模索し、企画を進めているところです。
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